導入
ものづくりの現場では「試作では問題なかったのに、量産したら不具合が出た」という話をよく耳にします。
私自身、機構設計に携わる中で、この“試作と量産のズレ”に何度も直面してきました。この記事では、なぜ量産前評価が重要なのか、その理由と実務で学んだポイントを解説します。
試作と量産は別物である
試作品は少量生産であり、加工条件や作業者の熟練度によって品質が保たれていることが多いです。一方、量産では以下のような違いが生まれます。
金型が量産仕様になる
作業者が複数人になる
生産スピードが上がる
材料ロットが変わる
これらの変化によって、寸法ばらつきや組立性の問題が顕在化します。
量産前評価で見るべきポイント
量産前評価では、単に「壊れないか」だけでなく、次の視点が重要です。
組み立てやすさ(作業性)
公差が重なった場合の最悪条件
長時間使用時の劣化
製造現場での再現性
特に重要なのは「ギリギリ成立している設計」になっていないかを見抜くことです。
実体験から学んだ失敗例
ある樹脂部品では、試作では問題なかったツメ構造が、量産では割れやすくなりました。原因は、
成形条件の微妙な違い
材料の冷却速度
作業者ごとの組み付け力
これらが重なり、設計マージンが不足していたのです。
量産前評価は“保険”ではなく“投資”
量産前評価には時間とコストがかかります。しかし、不具合が市場に出てから対応するコストと比べると、圧倒的に安い投資です。
評価をしっかり行うことで、品質・信頼性・ブランド価値を守ることができます。
まとめ
量産前評価は「念のため」ではなく、「必須工程」です。
試作と量産の違いを理解し、最悪条件を想定することで、トラブルの芽を事前に摘むことができます。
ものづくりにおいて、評価工程こそが品質を支える縁の下の力持ちなのです。