製品を海外へ輸出する際、欠かせないのが「安全認証」。
特にアメリカ市場において重要視されるのが UL規格(ユーエル規格) です。
私自身、前職で会社として初めてUL認証を取得するプロジェクトに携わり、申請書類の作成や審査対応を担当しました。
この記事では、その経験をもとに、UL規格の基本や認証マークの種類をわかりやすく解説します。
朝礼スピーチの題材や、ものづくりの勉強用資料としても活用できます。
UL規格とは?アメリカで信頼される安全基準
UL規格とは、アメリカの非営利団体「Underwriters Laboratories Inc.」(アンダーライターズ・ラボラトリーズ社)が策定する安全規格のことです。
主に電気・電子機器、機械、樹脂などを対象としており、製品が安全に使用できるかを試験・認証します。
アメリカ国内では法的な義務ではありませんが、公共機関や大手企業では「UL認証取得」が取引条件になることが多く、実質的な必須基準となっています。
日本製品でも、アメリカ向けに輸出する場合はUL対応が求められることが多く、設計段階から安全基準を考慮しておく必要があります。
UL認証品とUL準拠品の違い
UL規格に関する表記には、よく似た2つの言葉があります。
UL認証品:実際にULの試験を受け、認証を取得した製品
UL準拠品:UL規格に基づいて設計されたが、認証試験は受けていない製品
どちらを採用すべきかは、取引先や販売先の要求条件によって異なります。
アメリカへの輸出や北米規格に準拠した製品開発を行う場合は、正式な認証品を取得しておくのが安心です。
UL認証マークの種類と意味
UL認証マークには、主に次の2種類があります。
① リスティング認証マーク(UL Listed)
最終製品そのものがUL規格の試験に合格した際に付与されるマークです。
製品の安全性がULによって直接確認されており、「完成品として安全である」 ことを示します。
一般的には製品本体や銘板ラベルにプリントされます。
② レコグニション認証マーク(UL Recognized)
こちらは、最終製品に組み込まれる「部品」や「材料」に付けられる認証マークです。
例えば、電源ユニット・ケーブル・プラスチック素材などが対象です。
ULのデータベース(通称「イエローブック」)で認定部品として登録されており、製品開発者が安全性の確認済み部品を選定できる仕組みになっています。
UL認証の取得プロセス
UL認証を取得するには、以下の手順で進めます。
対象製品の特定:認証範囲・型式を決定
申請書類の作成:設計図・部品表・試験成績書などを準備
UL試験所への提出と試験:安全性や耐久性などを評価
工場監査(Follow-Up Service):製造現場が規格通り運用されているかを確認
これらをすべてクリアすると、ULマークの使用が認められます。
一度取得した後も、定期的な工場監査を受ける必要があり、品質の継続管理が求められます。
UL認証のメリット
ULマークが付いていることで、次のようなメリットがあります。
海外取引先からの信頼性向上
製品の安全性を客観的に証明できる
輸出時の手続きがスムーズになる
アメリカ市場での販売チャンスが広がる
日本国内では必須ではありませんが、海外展開を目指すメーカーにとっては欠かせない要素です。
まとめ|UL規格を理解することが世界市場への第一歩
UL規格は、アメリカ市場における安全の象徴ともいえる認証制度です。
「リスティング認証マーク」は最終製品、「レコグニション認証マーク」は部品向けに付与され、それぞれの役割が明確に分かれています。
国際市場では、安全性を「証明」する力が製品の競争力になります。
今後、グローバルなものづくりを目指す方は、ぜひUL規格をはじめとした各国の認証制度にも目を向けてみてください。