先日、東京ビッグサイトで開催された「ものづくり」をテーマにした展示会に参加しました。
多くの企業ブースが出展する中で、私が特に印象に残ったのは「広告デザインにおけるユニバーサルデザイン(UD)」の取り組みです。
見やすさや分かりやすさを重視したデザインは、単なる「美しさ」だけでなく、「誰にでも伝わる工夫」が詰まっていました。
この記事では、展示会で得た気づきを整理し、朝礼スピーチやプレゼンでも使える形でまとめます。
ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは、年齢・性別・言語・障がいの有無にかかわらず、すべての人が公平に利用できるように設計されたデザインのことです。
建築や交通、家電、公共施設だけでなく、近年では広告やWebサイトなど、情報発信の分野にも広がっています。
展示会では、企業が自社の製品説明パネルやパンフレット、動画プレゼンにユニバーサルデザインの考え方を積極的に取り入れていました。
「見えやすく、読みやすく、伝わりやすい」――そんなブースは自然と人が集まり、説明にも耳を傾けたくなる印象を受けました。
ユニバーサルデザインの7原則
ユニバーサルデザインには、世界的に知られている7つの原則があります。
①誰でも公平に利用できる
②使い方に柔軟性がある
③簡単で直感的に分かる
④必要な情報がすぐ理解できる
⑤ミスや危険につながらない
⑥少ない力で楽に使用できる
⑦アクセスしやすい寸法やスペースがある
このうち広告デザインに特に関係が深いのは、
「①公平性」「③直感性」「④情報の分かりやすさ」です。
つまり、“誰にでも伝わる”ことを意識するのが、広告デザインにおけるユニバーサルデザインの出発点です。
「伝わる」広告デザインの工夫
展示会で印象的だったのは、どの企業も「文字の読みやすさ」や「色の使い方」に細心の注意を払っていた点です。
・文字・フォントの工夫
・文字サイズだけでなく行間や余白を広めにとることで、読みやすさを確保
・UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)を使用して、視力や年齢による見づらさを軽減
・日本語と英語を併記する際も、バランスを崩さずに視線誘導を考慮
・色使いの工夫
・明度の差を強くして、色覚特性の違いにも対応
・赤と緑など、識別しづらい配色の代わりに形やアイコンで補助
・重要情報を“色だけ”で区別しない構成にする
・レイアウトの工夫
・左から右、上から下へと自然に視線が流れるよう配置
・見出しやキャッチコピーを「短く・具体的に」して印象を残す
・情報量を詰めすぎず、余白を活かすことで整理された印象に
これらは、展示会だけでなく会社案内・ポスター・プレゼン資料にも共通して活かせるポイントです。
「惹かれる」広告に必要な視点
ユニバーサルデザインが「伝える工夫」だとすれば、広告デザインにはもう一つ重要な要素――「惹きつける力」が必要です。
私が展示会で感じたのは、「見やすさ」と「印象に残る表現」は必ずしも同じではないということ。
どんなに読みやすくても、心に残らなければ広告としての効果は弱まります。
惹きつけるための3つの工夫
①目的を明確にする
「誰に」「何を」「どう感じてほしいか」を最初に整理する。
②記憶に残るキーワードを入れる
例:「未来を動かす技術」「手のひらサイズの革新」など、短くて印象的なフレーズを。
③感情を動かすビジュアルを使う
人の表情や動き、光のコントラストなど、感覚的に印象づける要素を取り入れる。
展示会の中でも、単なる製品紹介ではなく「想い」や「社会課題への貢献」をビジュアルで表現しているブースは、来場者が長く立ち止まる傾向がありました。
学びを職場で活かすには
広告デザインの工夫は、何もマーケティング部門だけの話ではありません。
社内報・提案資料・プレゼンなど、「情報を伝えるすべての場面」に応用できます。
たとえば:
・社内の掲示物をUDフォントに変更してみる
・会議資料の図を、色ではなく形やパターンで区別する
・説明スライドの文字量を減らして、1枚1メッセージを意識する
こうした小さな工夫でも、「伝わる力」は確実に変わります。
見やすい資料は相手への配慮の表れでもあり、チーム全体の理解度や会話の質を高める効果があります。
まとめ|「伝わる」と「惹かれる」の両立が大切
・展示会を通じて改めて感じたのは、広告デザインには「伝わること」と「惹かれること」の両方が必要だということです。
・見やすく分かりやすいデザイン(伝わる)と、見た人の心を動かすデザイン(惹かれる)のバランスこそが、ユニバーサルデザインの本質です。
この考え方は、広告だけでなく、日常のコミュニケーションや資料作成にも応用できます。
「伝える相手にやさしいデザインを意識する」ことが、結果的に自分の発信力を高め、仕事の成果にもつながると感じました。