朝礼スピーチのネタ集

UL世界調査の概要|製造者と消費者の意識ギャップに見る“品質と信頼”の課題

UL(Underwriters Laboratories)は、アメリカに本拠を置く第三者安全科学機関です。
電気製品の安全規格(UL規格)で知られていますが、実はそれ以外にも、世界規模での製品意識調査を継続的に行っています。

この記事では、私が調べた「ULの世界調査」の概要と、そこから見える製造現場と消費者の意識の違いについてまとめました。
ものづくりや品質保証の現場で働く方にとっても、考えさせられる内容だと思います。

UL世界調査とは?

ULは2012年から毎年、世界規模で「製品の品質・安全・環境・健康意識」に関する調査を実施しています。
調査対象はアメリカ・中国・インド・ドイツ・ブラジルの5か国。製造者と消費者の両方にアンケートを行い、認識の違いを比較しています。

この調査の目的は、製造業の信頼性を高めるための現状把握にあります。
しかし結果を見てみると、製造者と消費者の間には大きな意識のギャップが存在していることが分かりました。

認識のズレが大きい5つのポイント

品質への認識

製造者の95%が「品質は最重要」と回答。

しかし、消費者の51%は「企業は最低コストの材料を使っている」と考えている。

👉 製造者は“品質第一”を掲げても、消費者は“コスト重視”と見ている。
ブランドイメージやPRだけでは、品質への姿勢が伝わりにくい現実が浮かび上がります。

安全性への信頼

製造者の84%は「消費者の信頼は高まっている」と回答。

一方、58%の消費者は「企業は安全より販売を優先している」と回答。

👉 製造現場では安全確保のための試験や規格認証を行っていますが、消費者にはその努力が伝わっていません。
UL認証のように“見える形での安全証明”が今後ますます重要になります。

技術革新への見方

製造者の91%が「技術革新は重要」と回答。

消費者の63%は「新製品の登場が早すぎる」と不安を感じている。

👉 製造側は“進化のスピード”を強みと捉えますが、消費者は“安全確認の時間が足りないのでは?”と感じています。
この意識の差が、信頼低下の一因になっています。

健康と環境への優先順位

製造者は「環境配慮が最重要」と考える傾向。

消費者は「環境よりも自分や家族の健康への影響が重要」と回答。

👉 環境対応技術も大切ですが、消費者目線では「安心して使えるか」「健康被害がないか」が最優先です。
企業が発信する情報も、“環境より安全”を意識したバランスが求められます。

サプライチェーンの透明性

製造者の80%以上が「透明性は重要」と回答。

しかし、42%の消費者は「まだ不十分」と感じている。

👉 サプライチェーン情報を公表しても、内容が分かりにくい、更新が遅いなどの課題が残っています。
今後は「誰が見ても理解できる透明性」が信頼を高めるカギになるでしょう。

私が感じたこと|“努力している”だけでは伝わらない時代に

このUL調査を見て感じたのは、「製造者の努力」と「消費者の理解」の間に壁があるということです。
多くの企業は品質や安全のために地道な取り組みをしています。
しかし、その姿勢が可視化されていないために、消費者は“安全より利益を優先しているのでは”と疑ってしまうのです。

つまり、企業が信頼を得るためには

安全性を客観的に証明すること(UL認証やISOなど)

取り組みを一般消費者にもわかる形で公開すること

が不可欠だと思います。

製品の品質を守るだけでなく、その「過程を見せる」ことが、これからの時代の信頼構築につながると感じました。

まとめ|UL調査が示す“信頼を可視化するものづくり”の重要性

ULの世界調査では、次のような認識ギャップが明らかになりました。

製造者:品質・安全・環境を重視している

消費者:コスト優先、安全より利益重視と感じている

この結果は、どちらが悪いという話ではありません。
むしろ、「伝え方」と「見せ方」を変えれば、信頼の距離は縮まるはずです。

ものづくりに携わる立場として、
“品質を守る努力”を、どう伝えるかが今後の課題だと感じます。

このブログでは今後も、国際規格や安全試験、ものづくり現場の工夫など、
実体験に基づいた情報をわかりやすく発信していきます。

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